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トピックス


改定保険業法の施行にあたって

2011年5月30日
共済の今日と未来を考える懇話会

粘り強い「適用除外」運動が現状復帰に道開く

 5月13日、改定保険業法が施行されました。2005年の保険業法の改定により、共済制度が保険会社の商品と同様の規制を受けることとなり、継続が困難となった制度の現状復帰を趣旨とするものです。当時の法改定の不備を国が認め、今回特例措置を講じたことは、広範な共済団体が、保険業法の「適用除外」を求めて粘り強く運動してきた成果です。
 政省令は、大規模な制度共済を参考にしたものとなっており、保険業法に準じた内容も少なくありません。本当に現状復帰が可能かという意味で「救済法にふさわしく、実態に即した対応をしてほしい」「申請書類は簡素にしてほしい」などのパブリックコメントが提出されていました。これに対する見解では、「(監督に当って)字義通りの対応が行われていない場合であっても、必ずしも不適切とせず、機械的画一的運用にならないように配慮する」「ご趣旨を踏まえ…適切な運用に努める」としています。また、「保険会社並みに規制を強めよ」との意見には、2005年の法改定に実施していた制度に限り継続を求めるものであるからその必要はないとの趣旨の見解が示されています。少なくともの05年の法律改定により存続困難となった共済の原状復帰という趣旨で対応されていると考えられます。

これまで通りの内容で共済事業が続けられるよう、今後も対応を

 しかし、共済団体の中には、5年後の見直し規定があることから、将来的な不安があり対応するかどうか決めかねているところや小規模な団体のため事務負担をできる限り軽減してもらわないと対応できないと心配しているところもあります。「加入者保護」の観点からも将来の見通しがもてるような措置や希望する団体がすべて制度を原状復帰できるよう懇切丁寧な対応が、今後も求められます。

大震災からの復興という状況下、助け合いの共済はますます重要

 自主的共済制度は、構成員の同意の下に、できるだけ少ない拠出で、必要な給付を充実させるため、ボランティアによる運営その他、様々な工夫を行っています。ささやかであっても仲間を守るこうした制度が、不十分な社会保障制度を補っています。
 東日本大震災に際しても、被災者を直接訪ねて声かけや復旧支援、特別な給付等の対応をいち早く実施しています。共済制度では、加入者は単に掛金に応じて給付を受ける契約者としてではなく、支え合う仲間として、生活再建・営業再建を応援する立場で対応しているのです。格差と貧困の拡大や未曾有の大震災からの復興という状況の中で、こうした制度はますます、重要になっているのではないでしょうか。
 
構成員自治に基づく共済を守り、発展させることをめざして

 残念ながら今回の法改定は、こうした自主的共済制度の意義と役割を全面的に認めたものではありません。「認可特定保険業者」として事業継続を認めるもので、むしろ保険業法の枠内に共済制度を取り込んだとの見方もできます。在日米国商工会議所が今回の特例にすら反対の立場を表明しているように、内外の財界による市場開放圧力は強く、最近のTPP参加の議論をみても、政府が同様の方向性をとっていることは変わっていません。
 私たちは、法令上「認可特定保険業者」と呼ばれるとしても、あくまで加入者を仲間と位置付け、共済らしく健全な運営を貫き、その姿で、共済制度の意義と役割を示していきます。保険とは異なる構成員自治にもとづく助け合いの制度、日本の文化として根付いている共済を守り、発展させる運動を今後も続けていきます。 

 



自主共済を守り抜くため、運動をさらに推進します

◇自主共済を守り抜くため、運動をさらに推進します―「共済の今日と未来を考える懇話会」が声明を発表
 3月24日に野党各党と無所属議員により新保険業法の「経過措置期間」延長法案が提出され、与野党協力のもとで、まさに国民的な要求の実現に向けて大きく前進することが期待されていましたが、国会で審議されずに4月1日を迎えたことは遺憾にたえません。
 3月31日、佐藤金融庁長官は記者会見で、「先般の保険業法の改正、この平成17年5月に成立した改正の目的は、根拠法のない共済の状況に鑑みて、構成員が真に限定されその運営を私的自治に委ねることが適当なものを除いて、これらに一定の規制をかけることによって保険契約者等を保護するということにございました。先ほど申しましたように、約88%の業者と契約をしていた契約者の皆さんについては何らかの形で保証が継続されるということでございますので、この改正の目的に概ね沿った結果に近づいているのではないかというふうに思っております。」と説明しました。共済や互助会加入者の権利が侵害される状況が拡大する中で、これほど実態を正しく反映していない説明があるでしょうか。
(詳しくは、http://www.fsa.go.jp/common/conference/com/2008a/20080331.htmlを参照)。
 ご承知のように、これまでに与野党国会議員から「経過措置期間」の延長や適用除外に対する賛同が寄せられ、理解と支持も広がり、国会質疑も重ねられてきました。それにも関わらず、金融庁は、適用除外は拡大しない、経過措置期間も延長しない、と頑なな態度をとり続け、共済制度の廃止に追い込まれている団体が多数に上っているのが実態です。
 私たちは、非営利の団体が、団体の構成員に限定して福利厚生として団体自治に基づいて運営する共済を、今後とも健全に運営していけるよう、助け合いの自主共済を守りぬくため、「経過措置期間」の問題を含めて新保険業法の適用除外を求めて引き続き関係各方面への陳情や懇談などをいっそう強力に推進していく所存です。
 私たち「共済の今日と未来を考える懇話会」は、こうした立場を明らかにするため、「与野党が共同して自主共済を救済するため、実効ある措置を早急に講じるよう要求する」声明をまとめ、4月1日、全国会議員とマスコミ各社に送付しましたのでお知らせします。


「とにかく『特定保険業者の届出』を出してください」では
無責任!!

 9月30日が過ぎましたが、つい最近まで、「とにかく『特定保険業者の届出』を出してください」、こんな呼びかけや説明がされていたそうです。
 「懇話会」関係者が金融庁の担当官に尋ねたところ、どのような場合でも届出してください、といった一律の説明はしていませんが、新保険業法施行後、半年以内に特定保険業者の届出が原則として必要なため、届出をしていただくようお願いはしている、とのことでした。しかし、これでは、かなり荒っぽい説明といわざるを得ません。
 共済制度の存続方法が確定しない中で、4月以降、新たな引受を停止している団体がいくつもあります。こうした団体の共済は、新保険業法の附則第2条第2項(既契約に係る業務及び財産の管理のみを行う者)として、新保険業法の監督・規制を受けないこととされています。こうした状態の団体が、いわれるままに「特定保険業者の届出」すれば、この先の着地点が定まらないまま、新保険業法の監督・規制は受けることになり、ますます団体側の対応を困難にしかねません。
 とにかく「特定保険業者の届出」はしてくださいと説明されても、そうすれば新たな引受もできます、などと説明している話も聞きます。しかし、2年先に制度の存続がもしできない場合、制度の将来保障も未確定のまま新たな引受をしてしまえば、結果として責任を負えないことになります。もし制度の継続方法が見つからない場合はどうするのか、との問いに、その場合は、廃止届けをだして解散になります、などとの説明もあったそうです。これが事実だとすると、当局は、単に「特定保険業者の届出」を求めているだけであり、消費者保護を軽視しているとの謗りは免れませんに。
 新保険業法は、消費者保護が法改正の趣旨だったのではないでしょうか。マルチ商法まがいの無認可保険販売業者から、消費者を守ること説明してきたはずです。消費者保護の立場から、新保険業法の運用に当たるべきです。
 こうしたおかしげな説明は、「特定保険業者の届出」だけではありません。生命保険会社や経営コンサルティング会社などの職員が、4月1日以前に引受けた契約の管理のみを行っていても、4月1日以降、それらの掛金を収受していれば新保険業法の附則第2条第2項(既契約に係る業務及び財産の管理のみを行う者)にはあたらない、などととんでもない説明をしているとの話も聞きました。
 3月31日までに引受けた契約に係る掛金の収受を、4月1日以降行っていても、新保険業法の附則第2条第2項(既契約に係る業務及び財産の管理のみを行う者)に該当します。ご不明の点は、金融庁総務企画局企画課までお尋ね下さい。

■新保険業法附則第2条第2項(既契約に係る業務及び財産の管理のみを行う者)
 「この法律の施行の際現に特定保険業を行っている者のうち施行日前に引き受けた保険契約に係る業務及び財産の管理のみを行う者(新保険業法第3条第1項の免許及び新保険業法第272条第1項の登録の拒否の処分を受けた者を除く。)については、前項の規定にかかわらず、なお従前の例による。」